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大庭裕介先生!戎光祥選書ソレイユ003『江藤新平―尊王攘夷でめざした近代国家の樹立』インタビュー!

大庭裕介先生!戎光祥選書ソレイユ003『江藤新平―尊王攘夷でめざした近代国家の樹立』インタビュー!

NHKの大河ドラマ「西郷どん」でも大活躍していたことが記憶に新しい江藤新平ですが、今回はその江藤について、弊社の戎光祥選書ソレイユにて筆をとってくださった大庭裕介先生にインタビューをさせていただきました!

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『江藤新平』の企画の依頼を受けたときの率直な印象はいかがでしたか?

お話をいただいた時は、とてもありがたいと思う気持ちと「果たして書けるかなー」という気持ちが半々でした。というのも、これまで司法卿時代の江藤新平しか書いたことがなかったので、それ以前の江藤の事跡についてうまく研究状況などを反映して書けるかなという不安がありました。ただ、毛利敏彦先生の『江藤新平』(中央公論新社、1987年)が刊行されて30年以上経っていることもあり、当時の近代像や江藤新平像も近年の研究で変わってきているところもあったので、それを自分なりに発信できたらという期待もありました。



 
『江藤新平』で書くのが楽しかったところ、難しかったところはありますか?

楽しかったところは全部です(笑)。大学の学部や大学院時代に読んで以降、ずーっと積読状態になっていた本を読み返したり、最新研究にも手を付けることができたので良い勉強の機会にもなりました。そうしたなかでとくに楽しかったところは、やはり司法卿時代の江藤の箇所です。この箇所は、これまで発表した論文を参考にリライトしたのですが、江藤が尊王攘夷思想と法典・司法制度をどのように関連づけて構想していたのかを再整理できたので良かったように思います。逆に難しかった箇所は1章と2章でした。複雑な幕末政治史を再整理してわかりやすく伝えるのに苦心しました。書きながら、こんなに難しい時代に関心を持つ方が多いのはなんでだろうと思ってしまいました(苦笑)。
 
②を受けて)ズバリ読み所はどこでしょうか?

サブタイトルでも強調したのですが、江藤の政治思想ですね。これは全体を通して言えるのですが、江藤が尊王攘夷にこだわっていたことで西洋近代とは少し色の違った日本の近代化が構想されていったという点です。どうしても高等学校の日本史の授業で、明治維新=近代化=西洋化と教えられてしまう傾向があるので、西洋社会と日本社会が近づいていくように思われがちですが、当時の人たちは必ずしも西洋社会だけを念頭に置いて制度設計していったわけではないということを読み取ってもらえたら、うれしいです。士族反乱に加わるような士族にしろ、大久保利通(おおくぼとしみち)にしろ、江藤にしろ、近代化のコースが複数あったんだよということを暗に伝えたいというのが、この本の裏テーマです。
 
④『江藤新平』のなかでも江藤のイメージのことが大きな話題となっていますが、実際に ご執筆してみて、江藤の人としての魅力はどのあたりにあると感じましたか?

③のご質問とお答えが重なってしまうのですが、尊王攘夷思想という点で彼の生涯を通して考えると、なかなか頑固というか、頑なな人物だなーという気はしました。そのように江藤を描いたのは自分自身なのですが(笑)。逆にいえば、その頑なさが江藤の原動力であることは間違いないのですが。そうした確固たるものがどこかにあるから、明治維新当初は行動を共にする部分があった大久保利通とも対立したり、政府を離れた後に士族反乱に身を投じたりするのだと思います。江藤を頑なな人物だと考えると、毛利先生の『江藤新平』と重なる部分もあって、毛利先生も決して江藤を調整役として描かないんですね。ただ、僕は毛利先生のあの本の終わり方が、学生時代から少し納得いかないところがありました。毛利先生のなかで確固たる意志を持った江藤が、なんで佐賀の乱に「巻き込まれた」という終わり方なんだろうと思っていました。この本では「近代対反近代」というような図式を取り払って考えたこともあり、毛利先生の本を読んで感じていた違和感を自分のなかで少し解決できたのかなと思っています。ぜひいろいろな江藤像を読み比べてみてください。
 
⑤今後、書いてみたい人物やテーマなどはありますか?

12月に『江藤新平』が出たことを考えると、なかなか難しい質問ですね(笑)。以前に論文で触れた経緯から「大木喬任(おおきたかとう)とか良いじゃん」と周りから茶化されますが、大木喬任は、副島種臣(そえじまたねおみ)をして「天才」と言わしめただけあって古典籍・漢文・西洋法の知識がないと、彼の残した膨大な史料は読み込めないので、僕ではいつまで経っても書けないような気がします(笑)。個人的には、この本でも触れた佐佐木高行(ささきたかゆき)をいつかは機会があればとは思っています。一般の方にはあまり馴染みがない人物ですが、岩倉使節団に随行しながらも、明治10年に入ると、伊藤博文(いとうひろぶみ)たちの考える西洋的な立憲君主制には同意せずに、元田永孚(もとだながざね)たちと天皇親政運動に取り組んだりします。西洋を見ながらも、西洋化一辺倒の近代化と距離をとるという意味では、江藤とも近い要素があるように思います。あと、佐佐木は保守政治家・保守主義者としても知られているわけですが、最近といっても2年ほど前になりますが、宇野重規先生が『保守主義とは何か』(中央公論新社、2016年)という本を出されたこともあって、保守政治の在り方にも多くの人の関心が向けられています。そうしたなかで佐佐木を通して、最近の変質している保守政党や保守政治というものを再考できるのかなと考えています。ただ、佐佐木は79歳まで生きるので、まとめることが大変そうですが、あくまで希望ということでお願いします。

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大庭先生、大変お忙しい中インタビューにお答えくださり誠にありがとうございました!明治維新=近代化=西洋化というわけではないこと、近代化には複数のコースがあったというお話など、大変興味深く拝聴させていただきました。先生のおっしゃる通り幕末は非常に複雑な時代ですが、だからこそキラリと輝き高い志を持った志士たちが数多く生まれたのだと改めて強く感じました。

インタビュー日:2019年1月21日

2019-01-23 14:23:08

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