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久水俊和先生!戎光祥選書ソレイユ007『中世天皇葬礼史―許されなかった〝死〟―』インタビュー!

久水俊和先生!戎光祥選書ソレイユ007『中世天皇葬礼史―許されなかった〝死〟―』インタビュー!

「許されなかった〝死〟」というサブタイトルのインパクトが強いことでも話題の『中世天皇葬礼史』(戎光祥選書ソレイユ007)の著者である久水俊和先生に、インタビューをさせていただきました!



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①まずは『中世天皇葬礼史』の依頼を受けたときの率直な感想を教えてください。

葬礼は各時代、宗派、家によって様々で、正直、はっきりとした理由がわからない作法もあり、学術論文として扱うにしても難解な分野です。それが、自身の初めての一般書の単著にて取り扱うことになり、正直説明しきれるかなと思いました。
しかし、師を送り出し、葬礼を強く意識した時期ということもあり、師が背中を押してくれたかのように、二つ返事で承りました。

 
 
②執筆されるうえで、意識したところやこだわったところはどのあたりでしょうか?

中世と銘打っていますが、できるだけ古代や近世の天皇葬礼について触れようと思いました。そのおかげで規定の頁数内に納めるのに苦労しました。
こだわりは、「葬送史」「葬儀史」「葬礼史」と題名に3つの候補がありました。天皇の死に対する「人」のアクションを幅広く見ていきたいと思い、いわゆる葬式だけではなく、崩御から33回忌までの様々な階層の対応、所作・儀礼を含む、あえてスパンの長い「葬礼」を採用しました。
また、一般書ですので、
1つの事象に様々な見解があることを知って頂くために、複数の学説を提示することにこだわりました

 
 
③実際に『中世天皇葬礼史』を執筆されてみて、書くのが楽しかったところ、逆に難しかったところはありましたか?

室町以降を専門に研究してきましたので、第一部の飛鳥時代から鎌倉時代の葬礼は、新しい発見が多く、こういう機会でもないと、他時代の史料や論文をじっくりと読むことはないので、楽しかったです。それと同時に、史料に目を通すと先行研究とは違う自分なりの解釈も生じ、今後の研究にも活かすことができそうです。
難しかったのは、用語の説明です。学術論文では、難解すぎる場合、史料に出てきたとおりの用語をそのまま使うという手があります。一般書の場合は
史料のままだと不親切極まりないので、意地でもわかりやすく説明しようと思い、解読に時間がかかりました。おかげで、学術論文執筆時には触れられなかった所作等にもじっくり向き合えることができました。
 
 
④ (②と③を踏まえて)ずばり『中世天皇葬礼史』の読み所を教えてください!

本書のコアテーマは「不死の天皇」です。この「不死の天皇」のおかげで天皇も一人の人として家族的な葬儀をあげることができたというところが読み所です。ただ、この「不死の天皇」という概念は堀裕先生のご持論ですので、副題に用いることをお許し頂いた先生にはこの場をお借りして改めまして感謝を申し上げます。
また、ベストセラーとなった呉座勇一先生の『応仁の乱』は、登場人物が多すぎて人物把握が難しい!だが、そこが魅力だ!という評価があります。本書も書いた本人ですら混乱するほど、寺院と人物が多く登場します。
天皇家という「イエ」を取り巻く、寺僧同士の駆け引きや、貴族や武士の駆け引きも楽しんで頂ければと思います。
 
 
⑤久水先生は中世の天皇や朝廷研究を主なご専門にされていますが、当該分野をご研究される意義や魅力について教えてください。

私が子どもの頃までは、時代劇で出てくる公家というのは、平安絵巻的なものを除いては、ほとんど脇役での登場でした。子どもにとってはネタとしか思えないメイクに言葉遣い、プライドばかり高く、どこか陰湿なキャラが多く、この人達は一体何者なのかという感じです。しかも、時代劇のテーマが鎌倉時代だろうが戦国時代だろうが江戸時代だろうが、ブレることなく同じキャラ。後醍醐天皇など特異な例は除き、中世においては決して主役になることはできないこの集団を紐解くというのが、私なりの朝廷研究の目的です。このネタキャラで描かれがちな集団は、探求すればするほど、中世国家の運営に欠かすことができない重要な集団ともいえましょう。
 
 
⑥2020年3月には共編著で『室町・戦国天皇列伝』を刊行されていますが、担当された長慶天皇への想いを語ってください。
また、同書で取り上げられた天皇のうち、一番好きな天皇は誰ですか?理由もお聞かせください。


この企画を初めて聞いた時に「じゃあボクは長慶天皇!」と冗談を述べたつもりでしたが、最初の企画書段階で、長慶天皇の欄だけはしっかりと私の名が刻まれていました。長慶天皇については、調べれば調べるほど謎が多く魅力的な天皇でしたね。その魅力については本書で余すことなく述べたつもりですので、一読してみてください。
好きな天皇については、みな個性的で順位を付けるのは難しいです。ただ、
思い出深いのは後柏原天皇です。大学3年生の時の課題レポートで後柏原即位礼を取り上げたので、我が家にある最も古い史料のコピーは後柏原即位に関する箇条です。
 
 
⑦最後に、読者の皆さまへ一言お願いいたします!

新型コロナウイルスで3月に予定されていた戎光祥ヒストリカルセミナーが中止になり、皆様にお会いする機会がなくなってしまい残念です。
なお、『中世天皇葬礼史』は題名からして堅そうなイメージですが、題名ほど堅くはありません。『室町・戦国天皇列伝』とともに、中世の天皇の個性を存分に味読して頂きたいと思います。




 
 
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久水先生、大変お忙しい中インタビューにご対応くださり誠にありがとうございました!今年は中世の天皇に関する書籍が立て続けに刊行され、ブームが起きつつあります。そのような中、天皇の死と皇位継承の関係について解説した『中世天皇葬礼史』はひと味違った切り口になっているかと思います。今後機会がありましたら、ぜひ久水先生にも戎光祥ヒストリカルセミナーで講師としてご登壇いただければと思います。
 

インタビュー日時:2020年7月27日
 

2020-07-28 11:23:12

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